10月18日 長野県諏訪地方はあいにくの曇り空
皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
伊東睦美ピアノ教室の本年度ピアノ発表会まであと半月を残すのみとなりました。
生徒の皆さんはレッスンの進み具合はいかがでしょうか?
皆さんの素敵な演奏をとても楽しみにしています。
さて本日はお休みの日のつれづれに、音楽を語る上で最も偉大な作曲家の一人、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンさんのピアノ楽曲を著名ピアニストによる名演にて紹介したいと思います。
音楽にさほど興味ない方でもベートーヴェンを知らない人はいないと思います。
音楽室の5線譜黒板の上に肖像が張られているこのお方です。
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(独: Ludwig van Beethoven、標準ドイツ語ではルートヴィヒ・ファン・ベートホーフェンに近い[1]、1770年12月16日頃[2] – 1827年3月26日)は、ドイツの作曲家、ピアニスト。音楽史上極めて重要な作曲家の一人であり、日本では「楽聖」とも呼ばれる[3]。その作品は古典派音楽の集大成かつロマン派音楽の先駆けとされ、後世の音楽家たちに多大な影響を与えた。 (wikiより)
20代半ばより徐々に難聴が進行して28歳ころにはほとんど耳が聞こえなくなったともいわれています。
学校の音楽の授業などでは彼は克己と努力の偉人として伝えられていますが、本当のところ、とても変わった人だったようです。
例えば、
- 師ハイドンに、楽譜に「ハイドンの教え子」と書くよう命じられたときは、「私は確かにあなたの生徒だったが、教えられたことは何もない」と突っぱねた。
- パトロンのカール・アロイス・フォン・リヒノフスキー侯爵には、「侯爵よ、あなたが今あるのはたまたま生まれがそうだったからに過ぎない。私が今あるのは私自身の努力によってである。これまで侯爵は数限りなくいたし、これからももっと数多く生まれるだろうが、ベートーヴェンは私一人だけだ!」と書き送っている。(1812年)
- このような「場をまったくわきまえない」発言の数々はメッテルニヒ政権成立後に仇となり、大編成の委嘱が遠ざかる。
- テプリツェでゲーテとともに散歩をしていたところ、オーストリア皇后・大公の一行と遭遇した際も、ゲーテが脱帽・最敬礼をもって一行を見送ったのに対し、ベートーヴェンは昂然として頭を上げ行列を横切り、大公らの挨拶を受けたという。のちにゲーテは「その才能には驚くほかないが、残念なことに不羈奔放な人柄だ」とベートーヴェンを評している。
特にハイドンに対してのこのセリフ、「私は確かにあなたの生徒だったが、教えられたことは何もない」
これ大好きです。何回聴いても大爆笑!時には思い出し笑いしてしまうくらいです。
偏屈もここまで突き抜けていると、一周回って素敵です💛
彼の人間性がどんなだったかはともかく、作曲は壮大なスケールの交響曲や協奏曲、室内楽曲、ピアノ独奏曲と多岐に亘り唯一無二の素晴らしい楽曲を残しています。
彼の音楽を一言で表現すると、「苦悩を突き抜け歓喜へ」ではないかと思っています。
ふと元気のないときなど聴いてみるととても勇気づけられます。
大好きな作曲家のひとりなので本日2・3のピアノ曲をご紹介いたします。
1、ピアノソナタ第14番嬰ハ短調 作品27-2 第1楽章「月光」ソナタとして有名です。
弾いているのはヴィルヘルム・ケンプさん
ヴィルヘルム・ケンプ(Wilhelm Kempff, 1895年11月25日 – 1991年5月23日)は、ドイツのピアニスト、オルガニスト、作曲家、教育者。
この人はピアノが下手?として有名で、しょっちょうミスや間違いを連発したともいわれています。しかしそれを補って余りある深い精神性で今でもファンの多いピアニストです。
月光第1楽章、どうしたらこんな深い演奏ができるのでしょうか?この曲も譜面だけ見るとさして難しそうに見えないのですが、いざ弾いてみると曲を世界観を聴かせるレベルで表現するのは大変難しい曲だと思います。
それにしても、とても素敵なじいさんです・・・笑
老人ホームでこんな演奏するじいさんいたら、おばあさま方にモテモテとなることでしょう・・・汗
2、ピアノソナタ第17番 ニ短調 作品31-2 「テンペスト」
弾いているのはイスラエルの指揮者・ピアニスト、ダニエル・バレンボイムさん
1st movement 0:19
2nd movement 9:03
3rd movement 18:09
時間のない方はまずは、有名な第3楽章から聴いてみてください。
ダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim, 1942年11月15日 – )は、アルゼンチン出身の、ユダヤ人ピアニスト・指揮者。現在の国籍はイスラエル。ベートーヴェンのピアノソナタ全32曲の録音を2020年現在までに5回残している唯一の現役ピアニストである。
もともとピアニストとして有名であったが、近年では指揮者としてより有名です。
もったいない、指揮なんかしないでもっとピアノ弾いていてくれたらいいのに・・・
「のだめカンタービレ」のだめちゃんの演奏部分を担当した中国のピアニスト「ランラン」さんの師匠としても有名です。
それにしても素敵な演奏です。音の粒が1音1音美しい。肉厚の太い指から透き通るような美しい音を紡ぐ素敵な演奏のベートーヴェンです。
もっとも好きなピアニストの1人です。
3、ピアノソナタ第23番ヘ短調 作品57 「熱情」
弾いているのはアルトゥール・ルービンシュタインさん なんと御年89才時の映像!
アルトゥール・ルービンシュタイン(Arthur Rubinstein, 1887年1月28日 – 1982年12月20日)は、ポーランド出身のピアニスト。様々な作曲家の作品の演奏で国際的な名声を博し、特にショパンの演奏では同時代の最も優れたピアニストであるとみなされている.[1][2]。また、20世紀の代表的なピアニストの1人である[1] 。ルービンシュタインの演奏家としてのキャリアは80年にも及んだ[3]。
さて、ここで紹介しました演奏家は全ておじいちゃんと言って差し付けない世代の方(後期高齢者かも?)です。ですが、老いてなお当代一流の演奏をしています。
ピアニストは弦楽器や管楽器奏者などより長く現役でいられると言われています。
この時のルービンシュタインさん、実に御年89才。
ピアノ界の王者の風格漂う慄然とした演奏を聴くととても励まされます。
遅まきながら私(行み)もピアノ再開しようかな?と思わせてくれます。
ピアノはいつ始めても遅いということはないようです。
というわけで、シニア世代の方も是非ピアノを始めてみませんか?
例えば、70才でピアノ始めたとしても、ルービンシュタインさんの御年89歳まで19年間もあります。19年も日々欠かさずピアノ練習したら相当なレベルになることでしょう。
やってみようかな?でも遅いかな?なんてお迷いでしたら一度体験レッスンにお越しください。今はシニア世代の方がたくさん習いに来ています。
伊東睦美ピアノ教室は見学随時!いつでもお気軽にお問い合わせください。
あなたの入門をお待ちしています!
(文責:行み)
おまけ
・皆さんおなじみの「エリーゼのために」の楽譜
・「テンペスト」第三楽章の楽譜
・「月光」第三楽章の楽譜
この楽譜に共通する点があります。お気づきでしょうか?
それはすべて左手から右手へ音が上昇するように作られています。
ベートーヴェンはそのような作りの曲が多いように思います。
低音から高音部への駆け抜ける盛り上がりで、闘争の気持ちや不屈の精神を表現しているように思います。苦悩を突き抜け歓喜へ
対して、ロマン派を代表する作曲家ショパンさんでは
・夜想曲(ノクターン)第20番嬰ハ短調【遺作】の楽譜
音型が山なり、上がっては下がる、または上から落ちてくる、上がるにしても(dim.)まるで天に召されてしまったかのようです。
昇華する精神の高まりと、燃え尽きていく命の炎・・・
このような曲が多いように思います。
情熱は高まるが、しかし、あきらめてしまう・・・
諦めの気持ちや疲れ、個人的な後悔の打ち明け、ひそかな告白のような感情が呼び起こされます。
苦難の連続の生涯であった不屈の作曲家ベートーヴェン。その音楽からは人間の尊厳や生の歓びのようなものが感じられます。国境や時代を越えて普遍的に人類に訴えかける力がある。
それに対して、肺結核であったため死が常に身近なものであったショパン。命の終わりを知る秋の虫のように、はかなくも美しい名曲の数々を短い生涯で残しました。
作曲家の生きた時代の背景や、その生涯にも着目して曲を聴いてみるとより音楽を楽しめるかもしれません。
ベートーヴェンにショパン、ピアノを習うものにとってどちらも必須のレパートリーですが、どちらも違った良さがありどちらも素敵ですね。
続く・・・