「パレートの法則」をご存知ですか?

パレートの法則(パレートのほうそく)は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した法則。経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという理論。80:20の法則、ばらつきの法則とも呼ばれる。(wikiより)

パレートの法則は、ビジネスやマーケティングで広く利用されています。

★現代でよくパレートの法則が用いられる例

  • ビジネスにおいて、売上の8割は全顧客の2割が生み出している。よって売上を伸ばすには顧客全員を対象としたサービスを行うよりも、2割の顧客に的を絞ったサービスを行う方が効率的である。
  • 商品の売上の8割は、全商品銘柄のうちの2割で生み出している。→ロングテール
  • 売上の8割は、全従業員のうちの2割で生み出している。
  • 仕事の成果の8割は、費やした時間全体のうちの2割の時間で生み出している。
  • 故障の8割は、全部品のうち2割に原因がある。
  • 所得税の8割は、課税対象者の2割が担っている。
  • プログラムの処理にかかる時間の80%はコード全体の20%の部分が占める。

法則といってもフレミング左手の法則とかボイル・シャルルの法則などの自然科学の法則とは異なり、いわゆる経験則を集積したようなもので、ごく当たり前の現象をパレートの法則の名を借りて補強している場合が少なくない。

「売上の8割は全顧客の2割が生み出している」なんて言われると、とても説得力あるような感じがします。

この派生原理として、「2-6-2の法則」(働きアリの法則)が書籍・TVなどでも紹介され注目されています。

2-6-2の法則とは?

働きアリの法則(はたらきアリのほうそく)とも呼ばれており、働きアリに関する法則。

  • 働きアリのうち、よく働く2割のアリが8割の食料を集めてくる。(=パレートの法則)
  • 働きアリのうち、本当に働いているのは全体の8割で、残りの2割のアリはサボっている。
  • よく働いているアリと、普通に働いている(時々サボっている)アリと、ずっとサボっているアリの割合は、2:6:2になる。
  • よく働いているアリだけを集めても、一部がサボりはじめ、やはり2:6:2に分かれる。
  • サボっているアリだけを集めると、一部が働きだし、やはり2:6:2に分かれる。

北海道大学長谷川英祐先生の説明によると、一見サボっているように見えるアリの存在が、コロニーの存続に大きな役割を果たしている。仮にすべてのアリが同時に働き始めると、短期的には仕事の能率が上がるが、結果として全てのアリが同時に疲れて休むため、長期的には仕事が滞ってコロニーが存続できなくなる。場合によって一生ほとんど働かない結果となるアリもいるが、そのようなアリがいる一見非効率なシステムがコロニーの存続には必要だという。

この説を初めて耳にしたとき、大変興味深いと思いました。これを人間社会に当てはめてみました。

  • 上位2割
    実績・生産性が高く積極性に優れた優秀なグループ
  • 中位6割
    上位にも下位にも属さない平均的なグループ
  • 下位2割
    実績・生産性が低く積極的に行動しないグループ

ふーむ、あなたはどちらのグループだと思いますか?

★「下位2割」の存在意義について考えてみました。

あなたの職場や身の回りにもきっといらっしゃると思います。

働かない人、怠けている人が・・・!

こうゆう人を見ると、少なからず腹が立つと思います。「自分は一生懸命働いているのになんだアイツ、サボりやがって!」と・・・

お気持ちはよくわかります・・・

不道徳な人や反社会的な性向の見られる人間、やる気がない人は論外として、皆さんの職場にもいませんか?仕事は十分じゃないけど、おっちょこちょいだけど、ひょうきんで、どことなく憎めない人が・・・

やる気はあるけど結果につながっていない人や、一生懸命なんだけど、どこかピントがずれていたり、おっちょこちょいの人。一生懸命なので、失敗してもどこかユーモラスであり、周りの人を和ませる。

みんなのムードメーカー的な人、もうしょうがないなと思いつつもどこか憎めない人。

こうゆう人のいる組織は、よくも悪くも笑いが絶えないようにも見えて、職場の雰囲気が明るいように感じます。

上述の長谷川先生の理論に当てはめてみると、下位2割といわれる階層の人々は、人間が継続的な活動をするために必要な予備兵力であると考えられるのでは?

そうだとすると中間層の人々は下位2割の人の存在をありがたく思うべきではないか?優秀とかそうではないとかはあくまで相対的な評価にすぎないから、そうだとすると下位2割の人がいるおかげで相対的に優秀若しくは人並みと認められているだけに過ぎないのかもしれないのだから。

どんな人間にも長所と短所がある、どんな優秀な人にも欠点はあると思う。ならば、下位2割の人も排除したり嫌ったりしないで、なるべく長所を見つけて、活躍できる配置なり考えていくほうが人口減少社会の、人的資源の有効活用につながるのではないかと思いました。

★長所と短所は表裏一体

成果・実績を常に求められる厳しい経済社会ではあるけれど、少しぬけた人たちがいるおかげで、他の人も自分は優秀、若しくは普通なんだと安心していられるのかもしれない。そうだとしたらもっと彼らに感謝しなければならないかもしれません。

これがナチス・ドイツや大元帥スターリンならどうするか?

下位2割の人々は「国家の発展に寄与できない連中」と選別され、まとめて収容所送りになるかもしれない。

こんな社会が果たして本当に良い社会か?これからの時代はいろいろな個性を尊重できる社会となれば素晴らしいと思う。それこそ「一億総活躍」ではないのかと思う。

話は少し脱線しますが、「すべての人間に存在意義がある」、いろんな人間がいるからこそ「人間」という種の多様性を支えている。いろんな遺伝子のバリエーションがあるからこそ、大規模な災害・気候変動・感染症の蔓延などがあったとしても、生物としての人間は生き延びて種を繋いでいける、こんな考え方があるそうです。

ということは、私も大した人間ではないけれど、ただ毎日生きているだけで人類の多様性を支えているのだから、恥ずかしながら、これからも胸を張って元気に生きていこうと思いました。

以上、おしまいです。

教訓:

①優秀な人も天狗にならず謙虚でいよう、また下位2割と自覚する人は、それは現在のグループでたまたまそうだっただけなので必要以上に卑下したり、落ち込んだりしないでおこう!もちろん這い上がる努力は必要だけど

②いつも張り切っているといつか疲れてしまい、よいパフォーマンスを発揮できないので、時々は意図的にサボって英気を養うことも大切

と思いました。

 

関連用語:ダイバシティ・マネジメント

ダイバーシティ(Diversity:多様性)マネジメントとは、一人ひとりの多様性を認め、個々人を活かす形で仕事や人事制度を構築していこうというものです。

企業を取り巻く環境には従来にない厳しさがあります。
「多様な個性を持った従業員全員が高い意欲を持ち、 能力を十分発揮していくことが企業のビジネス目標の達成を可能にする」
企業の成長戦略を支えるためにも、[管理的支配的マネジメントスタイル]
からの脱皮が必要とされています。

「人種、性別、年齢、身体障害の有無などの外的な違い、価値観、宗教、生き方、考え方、性格、態度、などの内面も皆違う。『こうあるべし』と画一的な型にはまることを強要するのでなく、各自の個性を活かし能力を発揮できるような組織をつくることは、個人にとってプラスであるだけでなく、組織自体にとっても大きなプラス」

「さまざまな個性を持った従業員がフルに能力を発揮することにより、新しい商品が生まれ、画期的なプロセスが実現し、新しい顧客に支援される企業が生まれる」

「人」という財産を上手に活かせる企業こそが飛躍的発展ができるという認識で、経営戦略として位置付けられています。

さらに一歩進んで、ダイバーシティは企業戦略のみに留まらず、”多様性の受容” 普遍的な人権について考えることが大切だと思います。

“Diversity & Inclusion”を省略したもので、本来は”多様性の受容”を意味します。

様々な凸凹を持った、個性豊かな人々が、適材適所で、各自の能力をフルに発揮できる社会、それこそ人権の尊重されるあるべき社会と定義されています。